静かな世界
目を閉じて

耳をすませば
かすかに音が
聞こえてくる



夢を見た。
あの向こうに
冷たく透きとおった月が昇る

うれしそうに輝き
すべてを月が飲み込んでゆく

満ち欠けとともに 闇に包まれる

それでも月は輝いた。



無に帰る
そそがれる水のように

そして また
作られてゆく。



春の海は泣いていた
まだ 会えない

でも
あなたは きっと来る。



淡い光に誘われて
私は 意識の旅に出る



あの夜を走り抜ける
光の配列に
視線を奪われる

ときどきは忘れよう。


灰色の光
雨音が優しく歌う

不安な思いを消してくれるように



あなたは 行ってしまう。

手を伸ばしても
いくら叫んでも

あなたは 行ってしまう。
どこに行くのかさえ 言うことなく…、



夢のなか

手を延ばして

焦点は定まらない
窓を開けて

夜の風は冷たく、すべてを覆う雲に天は包まれる

流れる光たち
あらゆる物体は昼間と違う光を発し、自らの存在を主張する。
世界そのものが小さい粒子
色鮮やかな 光の渦に視界は奪われ
儚む。
儚みの中 光に夢中になってゆく。
そのまま そのままで 意識はどこかに飛んでゆく。
夜の光に吸い込まれる。
身体は幽体のよう
すべての物事は意味をなくしてゆく

すべては 光になり、風となり、音になる。



空を飛んだ。

雲の上からちっぽけな地表を見た。
からっぽな空の上で

青ざめた太陽をみつめると
なぜか もっと飛びたくなって
はるか 彼方、行き先も考えずに
もっと大空へ のぼりつめたくなる。

もっと空へ、もっともっと遠くへ、、、



言葉にしなかったのは
本当にそれが
現実になるのが恐かったから

現実は予想していたことより
もっと残酷な姿で
僕の心はバラバラになる。

ただ時に身をまかそう。今はそう思う。


[もどる] 苦情・お問い合わせ等は [E-mail]